おはようございます。
今回は相沢沙呼さんの作品「城塚翡翠シリーズ invertⅡ 覗き窓の死角」を読了しましたので、紹介したいと思います。
城塚翡翠シリーズは前々から集めている小説で、毎回相方に買ってもらっています。
初回限定の紙袋をもらってきてくれるのが非常にうれしいです。
ここから下ネタバレ注意!
「medium 霊媒探偵城塚翡翠」の続編の話になるのでネタバレが含まれています。
気になる方はこちらを読んでから見てください↓
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』と2作品目の『invert 城塚翡翠倒叙集』についての記事を書いていないのが悔やまれます。
ちなみになのですが、ミステリー用語である「倒叙ミステリー」と「叙述トリック」について説明しようと思います。
倒叙ミステリーとは・・・
物語の冒頭で犯人が分かった状態で始まるミステリー。
大体犯人目線で物語が進んでいくことが多いです。
叙述トリックとは・・・
巧みな文章で読者自身を騙すミステリー作品。
どんでん返しとかそうですね。
ちなみに倒叙トリックというものはないです!
私があまりミステリー用語とかを使わないのは誰にでも読みやすい記事を書きたいと思っているからです。
たぶんこれからもこの言葉はあまり使わないと思いますが今回は倒叙ミステリーと書かれているので補足として。
あらすじ
5冠獲得ミステリ『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、発売即重版10万部突破『invert 城塚翡翠倒叙集』に続く、シリーズ3作目!
反転、再び。
あなたは探偵の推理を推理することができますか?
嵐の山荘に潜む若き犯罪者。そして翡翠をアリバイ証人に仕立て上げる写真家。犯人たちが仕掛けた巧妙なトリックに対するのは、すべてを見通す城塚翡翠。だが、挑むような表情の翡翠の目には涙が浮かぶ。その理由とはーー。ミステリランキング5冠『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、発売即重版10万部『invert 城塚翡翠倒叙集』に続く待望の第3作目。犯人視点で描かれる倒叙ミステリの金字塔!
invert
in・vert
【他】…を逆さにする,ひっくり返す,…を裏返しにする;
〈位置・順序・関係を〉反対にする;〈性質・効果などを〉逆転させる;
inverted detective story:
倒叙推理小説
(amazonより)
こんな人におすすめ
・城塚翡翠シリーズを読んでいる
・翡翠ちゃんかわいい!
・倒叙ミステリに目がない
城塚翡翠シリーズ3つ目である今作。
1作目は城塚翡翠の正体、2作目が翡翠のワトソンである千和崎真との関係性、3作目にして翡翠のこれまでの生い立ちや信念について触れられているように感じました。
今回のお話は、少しずつ城塚翡翠の本当の正体が明かされていく構成となっています。
翡翠の孤独さや影での努力を考えると、人物像の深さを感じ取ることができました。
『生者の言伝』のはなしは最後の謎解きになるまで思いっきり騙されました。
途中までは「あ、よくある展開」って思っていたのですが、最後の解決編でまんまと騙されていたことがわかりました。
生者の宣伝にでてくる「ある計画」と「癖」は皆さん推理できたでしょうか?
読むだけではなく読者にも挑戦するところがまたこの作品を読んで飽きないところでもあると思います。
実は「ある計画」のほうは分かりましたが、癖のほうは私は分からなかったので誰かコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
覗き窓の死角は翡翠があまりにもかわいそうでどうしようもなかったです。
友達という描写が少ない分、真ちゃんとの絆が深まったように思います。
ドラマでちょうど例のシーンが流れたところなので、カメラと友達というワードは翡翠にとって鬼門なのかもしれないですね。
翡翠が問い詰めていくたびに心を痛めているように感じて、最後の方は読んでいくのが少し辛かったです。
相手が女性であるということもあって「てへぺろこっつんこ」がほぼないので苦手な方は特に読む安い作品になっています。
終始、翡翠は可愛いし、真ちゃんもかっこいいので、読み進めるにつれ読者はきっとホームズとワトソンのような関係である翡翠と真ちゃんが好きになります。
心に響いた言葉
P213
ただ自分らしく過ごしているだけで人格を否定され、醜い言葉を投げつけられるようになる。人間は平然とした顔でそんなことをする醜い生き物だ。
妹がいじめにあい、自殺をしてしまいその悲しさから復習をしようとしている詢子(じゅんこ)。
この言葉には憎しみも悲しみも込められており、自分も気を付けないといけないと感じました。
ただ「自分らしく」というのがどうしても奇異に見えてしまったせいで浮いてしまうこともあるし、逆に指をさせいてしまうこともある。
被害者にも加害者にもなりうる人間という生き物はなんて生きづらいのだろうと感じます。
せめて、指をさす側にはならないようにしようと誓いました。
P258
「信じるからこそ、この眼で確かめなくてはならない。もし、友人を追求することになっても、その人の身になにが起こったのか、どうしてもそれをしなくてはならなかったのか、大切な人だからこそ、わたしはそれを知らなくてはならないのです」
友達にやっとなることのできた相手が犯罪者かもしれないと突きつけられ、翡翠が当惑した後、真ちゃんに決意するシーン。
この後真に翡翠が「すみません、くだらないことに悩みました」と言うのですが真ちゃんが「くだらないこととは違うんじゃない?」って返すシーンがこの二人の絆を感じ取ることが出来て尊かったです。
「その好奇心と正義感を抱くことが出来れば、助けを求める誰かを救うことが出来るかもしれないのです。それなのに、すべてに無関心のままでいて、そのせいで大切な人を失ったとき、わたしはわたしを赦すことができません」
翡翠の正義感の根源はまさにこれで、表にはあまり見せない正義感がこの言葉のすべてであるように感じました。
私は特に無関心な人間の分類なので、こういう風に考える人もいるんだと思いました。
この世の探偵や警察の方はきっとここから正義感が来ているように思います。
あとがき
最後に、ネタバレになるので白く表示させます。
読了済みの方だけ覗いていただければ↓
ってことで、今回は相沢沙呼さんの作品「城塚翡翠シリーズ invertⅡ 覗き窓の死角」でした。
いかがでしたでしょうか?
選書の参考になれたらうれしいです。
漫画の方も絵がきれいで気になります。
ドラマの方は『invert 城塚翡翠倒叙集』まで追いつきましたね。
表紙になぞらえているところがにくい演出。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
それでは!