晴読雨読ときどき絵

[poti-espresso’s diary」本や絵や趣味の日記

イノセント・デイズ

おはようございます。

今回は早見和真さんの作品「イノセント・デイズ」を読了しましたので、紹介したいと思います。

 

 

この作品は早見和真さんの代表作だそうです。

ミステリーのジャンルになっていますが、これは果たしてミステリーなのでしょうか。

田中幸乃という女性の人生が描かれた作品のように私は思います。

 

 

目次

 

あらすじ

田中幸乃、30歳。
元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。
凶行の背景に何があったのか。
産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。
幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は・・・筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭(どうこく)の長篇ミステリー。

(文庫裏より)

 

こんな人におすすめ

  • 見た目で判断してしまうことがある
  •  犯人を見て「あぁ、やりそうだなー」って思ったことがある

 

たぶん誰でも1回はニュース番組を見て思ったことがあるのではないでしょうか?

そんな方にこそ読んでほしいです。

その人について何も知らないのに、どんな性格なのかも知らないのにそんな偏見を持ってしまうことってありますよね。

 

読み終わった後はなんとも言えない読了感と余韻を感じることが出来ます。

暗いっていう一言で終わらすにはあまりにも深すぎる作品。

 

これは、1人の女性の物語です。

必要とされることでやっと生きることができていた女性が利用され、裏切られ、搾取されていく様が描かれ、最後にはストーカーの末放火まで行ったと言う彼女。

彼女は何を思い、どんな気持ちで死刑宣告を受けたのか。彼女の本来の姿を見た人たちは彼女にどんな想いを抱くのか。

かつて幸乃と接した人たちである産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官が彼女について語っていく。

 

幸乃という人物がみえていくにつれ、不思議と読む手が止まらない作品でした。

 

心に響いた言葉

P57

大切なのは自信じゃない。覚悟なんだと私は思う。
 
子供を産むとき、自信がないから産まない、自信があるから産むじゃなくて「覚悟」が大事だということを本書では語られています。
確かに愛情を注いだからって真っすぐに子供に伝わるわけでもない。
ただ、それでも覚悟を持って愛し続けることが出来るか。

この言葉には考えさせられました。

 

P282

お前がどんな仕事に就こうと、絶対に忘れてはいけないことがあるよ。相手が何を望んでいるのか、真剣に想像してあげることだ。

 

どんな仕事に就いても確かに「想像すること」って大事だなと感じました。

なんとなく働いている部分もあったので自分がどんな行動をとったら相手が喜ぶのかなどを想像する。

そういうことを自然にできるようになりたいです。

 

P421

正義は一つじゃないかもしれないけれど、真実は一つしかないはずです。

 

人によって正義は違っていて、そのせいですれ違うことはあれど、真実は一つである。

このことって忘れがちだけど、覚えとかないと絶対に痛い目を見ることがあると感じることがあります。

いろんな視点から見ることが出来る人間になりたいです。

 

あとがき

この本が名作になっている理由が分かります。

確かに暗い、救いのない話だけれども、読む手を自然と進めることにできる作品でした。

先が気になって仕方がない不思議な魔力が備わっています。

 

ってことで、今回は早見和真さんの作品「イノセント・デイズ」でした。

いかがでしたでしょうか?

選書の参考になれたらうれしいです。

 

 

ドラマ化もされているようです。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

それでは!

 

 

以下「イノセント・デイズ」のネタバレです。

気になった方は本作を読んでからぜひ読んでください。

 

ネタバレ
私が読む手を止めることが出来なかったのはやっぱり田中幸乃の思考に同意する部分があるからだろうなと感じました。他の人もそういう理由でなのかわかりませんが、生きることが許されるならば私は死ぬことも許されるべきだとも感じます。そういう意味でも敬助の友人である八田の「死んじゃダメ」という言葉は幸乃にとって呪いになったようにしか感じなかったです。「いつでも死ねる」という安心感があってこそ生きることのできていた彼女を追い詰めてしまったように見えました。しかし、幸乃に起こったことは全てその周りの人たちが言われたことであるというのもまた皮肉がきいていて面白いなとも思いました。私も誰にも迷惑かけなくて、ずっと死にたいって思っていたらこの事件に飛びついてしまうかもしれません。一概に抗わないことが罪だとは思わなかったです。死刑後、幸乃に関わった人たちの心情に触れたいとも思いました。