晴読雨読ときどき絵

[poti-espresso’s diary」本や絵や趣味の日記

蹴りたい背中

おはようございます。

 

お題「積読解消報告」

 

今回は綿矢りささんの作品「蹴りたい背中」を読了しましたので、紹介したいと思います。

 

「青春」という言葉だけでは

言い表せない関係性を描いた作品

 

 

目次

 

あらすじ

“この、もの哀しく丸まった、無防備な背中をけりたい”

 

長谷川初美は、陸上部の高校1年生。

ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンである

にな川から、彼の部屋に招待されるが・・・クラスの余り者同士の奇妙な関係を描き、文学史上の事件となった127万部のベストセラー。

 

史上最年少19歳での芥川賞を受賞。

 

(文庫本裏より)

 

こんな人におすすめ

  • 若いころを思い出したい
  • 学生の頃の心の機微を知りたい
  • 現在学生である
  • 一人でいる人の気持ちを知りたい
  • 一人でいる事が多い、一人が好き

 

綿矢りささんの本はインストールしか読んだことがありませんでした。

 

この本は思春期の男女が徐々に近づき、やがて恋人になる。。。というような、簡単なものではないです。

 

ハツ(長谷川)は人間関係に疲れて、自ら孤独になっている陸上部の高校1年生。

にな川は、オリチャンというモデルのファンで、オリチャンに会ったことのあるハツに興味を湧きます。

 

その興味も、決して恋愛とかに繋がるような関係ではなく、その歳特有の距離感を感じました。

 

好きとか嫌いとか友達とか恋人とかそうでないとか、そういう固定概念をサラにする、心地いい小説でした。

 

ところどころ文章から覗く鋭さは、今の時代でも断然通じる作品です。

 

心に響いた言葉

P16

同じ机を使っていても向こう岸とこっちでは、こんなにも違う。でも人のいる笑い声ばかりの向こう岸も、またそれはそれで息苦しいのを、私は知っている。
この言葉は共感できる人は多いのではないでしょうか?
 
人間関係に疲れていたりするとついこういう思考になってしまいます。
「すごく楽しそうだなー」って思いつつ。
かと言って、いざその輪に入ろうとすると自分が浮いてしまうというか、気を遣わないといけない・・・手探りで確認しながら向こう岸にいないといけない。
それは苦しくて、めんどうで・・・。
 
向こう岸にいる人たちを尊敬するけど、人付き合いが苦手な人はどうしても一人を選んでしまう。
そして、毎回思う。
学校のグループ分けとか
本当にやめよう???
 

P89

自分の内側ばっかり見てるから、何も覚えていない。学校にいる間は、頭の中でずっと一人でしゃべっているから、外の世界が遠いんだ。

これは共感しかなかった。

 

たぶん偏見かもしれませんが、一人でいる人の大半はこういう状態じゃないかな?

私もだけど!!

 

ひとりで妄想したり、ひとり反省会したり。

 

何回か唯一の友達である絹代がグループに誘ってくれるけど、主人公であるハツは毎回断る描写があります。

決していじけてるわけでもないのに、いじけているように思われたり。。。

ハツには本当に共感しかなかったですw

 

あとがき

思春期ならではの心の機微を知ることが出来た作品でした。

何回懐かしい気持ちになったことか。

 

にな川の行動には少し驚くこともあったけど、それも思春期ならでは・・・なのかな?

 

ってことで、今回は綿矢りささんの作品「蹴りたい背中」でした。

いかがでしたでしょうか?

選書の参考になれたらうれしいです。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

それでは!

 

 

以下「蹴りたい背中」のネタバレです。

気になった方は本作を読んでからぜひ読んでください。

 

ネタバレ
オリチャンという「推し」を挟んでの物語の展開は「推し、燃ゆ」と似たような雰囲気を感じました。「蹴りたい背中」が好きな人はきっと「推し、燃ゆ」も好きだと思います。どちらも思春期の女の子が主人公で、何とも言えない感情を持っているところとか、少し似ているなと思いました。たぶん当時は「推し」という言葉はほぼなかったんじゃないかな?と考えてみたり。たくさんの作品に触れることで、共通してるところや違うところを見つけるのが楽しいです。